
1. 医学生による講義

医学生は、がんの基礎知識について、細胞や免疫の働きをもとに講義を行いました。冒頭では、自身の出身地や大学生活、臨床実習の経験なども紹介しながら、生徒が親しみを持って話を聞ける雰囲気づくりがなされていました。
講義では、私たちの体は多くの細胞から成り立っており、日々細胞分裂を繰り返す中で異常な細胞が生じることがあること、通常は免疫の働きで排除されるものの、それが増殖していくとがんになることが説明されました。さらに、がん細胞が血液や血管を通じて全身に広がることで、命に関わる状態になることも解説されました。
また、日本人の「2人に1人」ががんになること、がんが1981年以降、日本人の死因の第1位であることも紹介され、がんが誰にとっても身近な病気であることが伝えられました。
予防については、喫煙、飲酒、食生活、運動、体重管理、感染症対策といった生活習慣が大切であることが説明されました。特に喫煙については、肺がんだけでなく多くのがんの原因となること、さらに受動喫煙によって周囲の人にも影響が及ぶことが強調されました。
食事では、塩分のとりすぎが胃がんのリスクにつながること、野菜や果物を十分にとることの大切さ、熱すぎる飲食物が食道がんのリスクとなる可能性があることも紹介されました。
加えて、感染症とがんの関係についても取り上げられ、子宮頸がんとHPV、胃がんとピロリ菌、肝臓がんと肝炎ウイルスとの関係が説明されました。特に子宮頸がんについては、HPVワクチンと検診の両方が重要であることが伝えられました。
さらに、国が推奨するがん検診として、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの検診が紹介され、それぞれ対象年齢や方法が異なることも説明されました。
主なポイント
- がんは、異常な細胞が増殖することで生じる病気である。
- 通常は免疫が異常な細胞を排除している。
- 日本人の2人に1人ががんになる。
- がんは日本人の死因の第1位である。
- 喫煙や受動喫煙は多くのがんの原因となる。
- 食生活や運動、体重管理も予防につながる。
- HPVやピロリ菌など、感染症が関係するがんもある。
- ワクチンと検診による予防・早期発見が重要である。
2. がん経験者による体験談

がん経験者からは、自身が乳がんを経験した際のことや、その後の生活について講演が行われました。
講演では、健康に気を配って生活していてもがんになることがあること、検診で「問題ない」と言われたあとに、家族の気づきをきっかけに再度受診し、がんが見つかった経緯が語られました。
また、診断を受けたときの衝撃や、子どもたちに伝えるかどうか迷ったこと、自身の母親を突然亡くした経験から、子どもには話すことを選んだことなど、家族との関わりについても率直に共有されました。
治療では、手術、放射線治療、化学療法、長期にわたる服薬や注射などを経験したことが紹介されました。一方で、身体のつらさだけでなく、仕事や家計、家族関係、子どもの学校生活など、治療以外の「心の痛み」「社会的な痛み」が大きかったことも語られました。
特に、子どもたちが学校に行けなくなったり、精神的に大きな影響を受けたりしたことについての話は、生徒にとって印象的な内容となりました。そうした経験の中で、状況そのものは変えられなくても、自分の気持ちを少しずつ整えていくことの大切さに気づいたと語られました。
また、インターネット上には正しい情報だけでなく不確かな情報も多いため、信頼できる情報を選ぶことの重要性についても伝えられました。
最後に、困難な状況にあっても、人には少しずつ前を向く力があること、そして、つらいときに支えてくれる人や環境の大切さについて、生徒たちに向けて前向きなメッセージが送られました。
主なポイント
- 健康に気をつけていても、がんになることはある。
- がんの診断は本人だけでなく家族にも大きな影響を与える。
- 手術、放射線治療、化学療法など長い治療が続くことがある。
- 仕事や家庭、学校生活など社会的な影響も大きい。
- 子どもたちも不安や苦しさを抱えることがある。
- 信頼できる情報を選ぶことが大切である。
- 人には困難な中でも前を向く力がある。。
3. 生徒の反応・学び
生徒たちは、医学生による講義とがん経験者の体験談の両方に真剣に耳を傾けていました。
講義を通じて、がんの仕組みや予防方法、検診やワクチンの大切さについて理解を深めるとともに、がんが決して遠い話ではなく、自分や家族にも関わる身近な問題であることを学ぶ機会となりました。
また、がん経験者の話からは、がんが身体だけでなく、心や家族の生活にも大きな影響を与えることを実感をもって受け止める様子が見られました。
質疑応答では、日本での生活やがんに関する疑問なども含め、生徒が関心を持って積極的に話を聞いていたことがうかがえました。
授業全体を通して、生徒たちはがんについての正しい知識だけでなく、自分自身や大切な人の健康について考える大切さを学ぶことができました。
- 実施校
- 品川区立八潮学園(東京都品川区)
- 参加学生
- 国際医療福祉大学4年、がん経験者
- 実施日
- 2026/3/16
- 対象
- 中学2年