
1. 医学生による講義

医学生は、がんの基礎知識について、クイズを交えながら児童にも分かりやすい言葉で説明しました。授業の冒頭では、がんという病気について児童が持っているイメージを問いかけながら進められ、がんは特別な人だけがかかる病気ではなく、誰にとっても関わりのある身近な病気であることが丁寧に伝えられました。
講義では、がんとは「細胞が暴走して増え続けてしまう状態」であり、本来は体を正常に保つために働いている細胞が、何らかのきっかけで異常を起こし、周囲の組織に影響を与える病気であることが解説されました。児童たちは、普段あまり意識することのない体の中の変化が病気につながることを知り、驚きながらも真剣な表情で話を聞いていました。
さらに、がんの発生には生活習慣が関係していることにも触れられました。喫煙や飲酒、食生活の乱れ、運動不足などが体に影響を与え、細胞に負担をかけることがあると説明され、健康的な生活を送ることの大切さが強調されました。特に食生活については、野菜や魚、海藻などを偏りなくバランスよく食べることが体を守ることにつながると紹介され、日々の食事が将来の健康に結びつくことを児童たちに伝えていました。
また、がんは早期に発見すれば治療できる可能性が高まることについても分かりやすく説明されました。症状が出てから気づくのではなく、症状がなくても定期的な検査を受けることが重要であると伝えられ、将来大人になったときには検診を受けることを意識してほしいというメッセージが送られました。
講義の最後には、「がんは誰にでも起こりうる病気だが、生活習慣を整えたり、検診を受けたりすることで向き合うことができる」ということが改めて強調され、児童たちにとって、健康を守るために自分にできることを考えるきっかけとなる内容でした。
主なポイント
- 日本では2人に1人が一生のうちにがんになると言われている。
- がんは、細胞が異常を起こし、増え続けてしまうことで発生する病気である。
- タバコやお酒、食生活の乱れなどは、がんの原因になることがある。
- 野菜・魚・海藻などをバランスよく食べることが、がんの予防につながる。
- がんは早く見つけて治療すれば治る可能性が高くなる。
- 大人になったら定期的に検診(けんしん)を受けることが大切である。
2. がん経験者による体験談

がん経験者の藤原さんからは、自身が乳がんと診断されたときの体験について、児童にも伝わりやすい言葉で丁寧に語りました。講演では、がんと聞くと「怖い病気」という印象を持つ人が多い一方で、正しい知識を持ち、早期発見と治療につなげることができれば、向き合っていくことのできる病気であるということを、自身の経験を通して伝えていました。
藤原さんは、入浴中に体のしこりに気づいたことをきっかけに検診を受け、乳がんが見つかったと振り返りました。自覚症状はほとんどなく、もし検診や受診をしていなければ発見が遅れていたかもしれないと話し、症状がないから大丈夫とは限らないこと、気になる変化があったときには検査を受けることが大切であると児童たちに伝えました。
また、がんの治療として放射線治療やホルモン治療を経験したこと、その過程では不安や戸惑いもあったこと、さらに再発を経験した際には大きなショックを受けたことについても率直に語られました。その一方で、治療を続ける中で「時間は限りあるもの」であり、今を大切に生きることの大事さを改めて感じるようになったと話し、自分のやりたいことや大切な人との時間を意識して過ごすようになったと述べていました。
藤原さんは、がんを経験したことで、命や健康は当たり前ではないことを実感し、毎日の生活を大切にするようになったと語りました。そして、児童たちに対しても、大人になったらぜひ定期的に検診を受けてほしいこと、早く見つけて適切な治療を受けることがとても重要であることを力強く伝えました。
体験談全体を通して、単に病気の大変さだけを伝えるのではなく、がんを通して得た気づきや前向きに生きる姿勢が語られており、児童たちにとって、命や健康について改めて考える機会となる内容でした。
主なポイント
- 入浴中に体のしこりに気づいたことがきっかけで検診を受け、乳がんが見つかった。
- がんは自覚症状がないことも多く、検診で見つかることが大切である。
- 放射線治療やホルモン治療、再発などを経験しながら病気と向き合ってきた。
- がんを経験して、時間や命の大切さを強く感じるようになった。
- 大人になったら定期的にがん検診を受けることがとても重要である。
3. 生徒の反応・学び
授業の最後には質疑応答の時間が設けられ、児童や教員から治療に関する質問や、実際の生活の中でどのように病気と向き合っていたのかといった質問が寄せられました。藤原さんは、一つひとつの質問に対して、実体験を交えながら丁寧に答えており、児童たちも真剣な様子で耳を傾けていました。
また、授業後には児童同士で感想を共有する時間も設けられ、講義や体験談を通して学んだことや、印象に残った内容について話し合う姿が見られました。児童たちは、がんについて単に「怖い病気」として捉えるのではなく、正しい知識を持つことや、生活習慣を整えること、将来検診を受けることの大切さについて理解を深めていました。
さらに、がん経験者の体験談を通して、病気になった人の気持ちや、周囲の支えの大切さについても考える機会となりました。健康や命の大切さを自分自身の問題として考えるきっかけとなり、児童たちにとって非常に意義深い学びの場となりました。
授業全体を通して、児童たちはがんをより身近な問題として捉え、将来の健康や生活習慣について考えるとともに、病気の人に対する理解や思いやりの大切さについても学ぶことができたと考えられます。
- 実施校
- 八王子市立大和田小学校(東京都八王子市)
- 参加学生
- 東北医科薬科大学2年、がん経験者
- 実施日
- 2026/2/25
- 対象
- 小学6年