
1. 医学生による講義

医学生より、がんの仕組みや日本における現状、治療法、予防方法について講義が行われました。冒頭では自己紹介も交えながら、生徒に親しみやすく語りかける形で授業が進められました。
講義では、がんとは体をつくる細胞の遺伝子に傷がつき、異常な細胞が増え続けることで生じる病気であることが説明されました。人の体は約37兆個の細胞から成り立っており、その一部に異常が起こることでがんが発生することをわかりやすく伝えていました。
また、日本では「2人に1人が生涯のうちにがんになる」と言われていることを紹介し、がんは誰にとっても身近な病気であることを生徒に伝えました。一方で、医療の進歩により治療法が増え、がんは以前に比べて治せる可能性の高い病気になってきていることにも触れ、生徒が必要以上に恐れすぎないよう配慮した内容となっていました。
治療法については、手術、放射線治療、薬物療法を中心に説明が行われ、分子標的薬や免疫療法といった新しい治療法についても、生徒に伝わりやすい表現で紹介されました。
さらに、がんを予防するために日常生活の中でできることとして、たばこを吸わないこと、受動喫煙を避けること、飲酒を控えめにすること、バランスのよい食事をとること、適度に運動をすることなどが紹介されました。加えて、感染が関係するがんやワクチンによる予防についても触れ、将来のがん検診の重要性についても説明がありました。
講義の終盤では、がん患者と接する際には特別視せず、普段通りに接することが支えになること、正しい知識を持ち、思いやりをもって行動することの大切さが伝えられました。また、講師自身が家族のがんをきっかけに医療の道を志した経験にも触れ、生徒に対して、困っている人に寄り添う姿勢の大切さを呼びかけました。
主なポイント
- がんは、細胞の遺伝子に傷がつくことで発生する病気である。
- 日本では2人に1人が生涯のうちにがんになるとされており、身近な病気である。
- 医療の進歩により、手術、放射線治療、薬物療法など治療法が増えている。
- たばこ、飲酒、食生活、運動習慣など、日常生活の中で予防できることがある。
- 感染が関係するがんもあり、ワクチン接種が予防につながる場合がある。
- 予防だけでなく、早期発見のためのがん検診が重要である。
- がん患者に対しては、特別視せず、普段通りに接することが大切である。
2. がん経験者による体験談

がん経験者の吉田さんからは、ご自身の卵巣がんの経験をもとに、がんと向き合う中で感じたことや学んだことについてお話がありました。吉田さんは、子どもを育てながら仕事を続け、現在も趣味を楽しみながら生活していることを紹介され、がんになっても人生が終わるわけではないことを生徒に伝えていました。
講演では、がんになる前、治療中、治療後で生活の時間の使い方が変わったことを示しながら、治療中は大変な時期があるものの、その後再び自分らしい生活を取り戻していけることが語られました。
吉田さんが罹患したのは卵巣がんであり、自覚症状がほとんどないまま進行していたものの、子どもがぶつかった際の強い痛みをきっかけに受診し、発見につながったと説明されました。ここから、「自分の体の異変に気づけるのは自分自身であり、違和感は大切なSOSである」というメッセージが伝えられました。
また、がん治療では正解が一つではなく、自分がどうありたいかを考え、納得して選択することが大切であると話されました。医師と相談しながら、自分にとって大切にしたいことを伝えたうえで治療法を選んだ経験を通じて、生徒に対しても、日頃から「自分で決める力」を養うことの大切さを呼びかけていました。
さらに、退院後の心身ともにつらい時期に、周囲の何気ない言葉に傷ついた経験がある一方で、「また遊びに行こう」「手伝うから声をかけてね」といった自然な声かけに支えられたことも紹介されました。病気の人に対しては特別扱いではなく、思いやりのある言葉や関わりが大きな支えになることが、生徒にもわかりやすく伝えられていました。
あわせて、助けを求めることは恥ずかしいことではなく、周囲と支え合うことの大切さについても話がありました。最後には、しっかり食べること、体を動かすこと、十分に眠ることなど、日々の基本的な生活が健康につながることにも触れられました。
主なポイント
- がんになっても、人生が終わるわけではなく、その後も自分らしい生活を取り戻していくことができる。
- 自分の体の異変や違和感は大切なSOSであり、早めの受診が重要である。
- がん治療では、自分がどうありたいかを考え、納得して選択することが大切である。
- 病気で苦しんでいる人に対しては、思いやりのある自然な声かけが支えになる。
- 助けを求めることは悪いことではなく、周囲と支え合うことが大切である。
- 食事、運動、睡眠など、基本的な生活習慣が健康づくりにつながる。
3. 生徒の反応・学び
授業では、生徒たちは医学生による講義、がん経験者による体験談のいずれにも真剣に耳を傾けていました。身近な例や問いかけを交えた説明により、集中して聞くだけでなく、自分ごととして考えようとする様子が見られました。
医学生の講義を通して、生徒たちは、がんが細胞の異常によって起こること、日本では多くの人に関わる身近な病気であること、また予防や早期発見が重要であることについて学ぶことができました。加えて、治療法が進歩していることから、がんは正しい知識をもって向き合うべき病気であることも理解する機会となりました。
一方、がん経験者の体験談からは、病気になったときの不安や苦しさだけでなく、その後の生活や周囲の支えの大切さについて具体的にイメージすることができたと考えられます。特に、「がんになっても人生は終わらない」「思いやりのある言葉が人を支える」といったメッセージは、生徒に強く印象を残す内容であったと思われます。
また、授業の最後には質問や感想を考える時間も設けられ、生徒が学んだ内容を整理する機会となっていました。がんについての正しい知識を得るだけでなく、病気の人への接し方や、自分や家族の健康を大切にすることの意味について考える、有意義な学びの場となりました。
- 実施校
- 大和市立西鶴間小学校(神奈川県大和市)
- 参加学生
- 国際医療福祉大学3年、がん経験者
- 実施日
- 2026/2/13
- 対象
- 小学6年