
1.医学生による講義①

医学生からは、がんが生まれる仕組み(細胞分裂のミス)や免疫の働き、日本のがんの現状、生活習慣でできる予防、HPVワクチンについて、問いかけを交えながらわかりやすく説明しました。
家族のがん経験をきっかけに、「正しい知識が未来を守る」という思いも共有され、生徒が自分事として考える導入となりました。
主なポイント
- がんは体内で生まれ、免疫の働きで表に出ないこともある。
- 日本人は2人に1人が一生のうちにがんと診断されると言われている。
- 飲酒は「適量」が大切で、飲み過ぎはがんのリスクを高める。
- たばこ(受動喫煙含む)はがんの大きな原因である。
- 運動は激しさよりも、続ける習慣が重要である。
- HPVワクチンは子宮頸がん予防につながり、男女ともに関係がある。
- 学んだことを家族に伝えることが、予防への第一歩になる。
2. 医学生による講義②

続いて、がんができる場所の多様性や、検診による早期発見の重要性、治療法の進歩について解説がありました。
治療は一人ひとりに合った方法を選べる時代になっていることや、納得して治療を選ぶ「インフォームド・コンセント」という考え方も紹介されました。
主なポイント
- がんは体のさまざまな場所にできる。
- 早期発見は治療の負担を軽くすることにつながる。
- 自覚症状が出る頃には進行している場合もある。
- 検診には年齢ごとの推奨があり、家族世代の受診も重要である。
- 治療法は進歩し、がんは治る可能性のある病気になってきている。
- 治療は患者の同意を大切にしながら進められる。
3. がん経験者による体験談

和田さん(がん経験者)からは、子宮頸がん検診を継続して受けていたことで、早期(上皮内がん)で発見できた体験が語られました。治療や休職に対する不安、職場や家族、友人の支えが心の支えになったこと、外見では分かりにくい体調不良があることなど、実体験に基づく話が共有されました。
また、早期発見によって医療費の負担を抑えられたことから、「検診は自分や家族のためだけでなく、社会のためにもなる」という視点や、献血ががん治療を支える仕組みであることも紹介されました。
主なポイント
- 検診を継続したことで、早期発見につながった。
- 早期発見により、大きな治療をせずに済んだ。
- 病気には体のつらさだけでなく、心の不安も伴う。
- 職場や家族、友人の支えが大きな力になる。
- 外見では分からない不調があり、理解と声かけが大切である。
- 早期発見は医療費を抑え、社会全体の負担軽減にもつながる。
- 献血はがん治療を支える大切な仕組みの一つである。
4. 生徒の反応・学び
講義中は問いかけに対して積極的に手が挙がり、「今の生活習慣が将来に影響する」という話では、
うなずきながら聞く生徒の姿が多く見られました。
質疑応答では、「目に見えるがんはあるのか」「生活習慣で特に気をつけることは何か」などの質問が出され、
回答を通して、予防・検診・正しい情報を選ぶことの重要性が、より具体的な学びとして深まりました。
体験談を通じては、「普段の関係性や何気ない声かけが支えになる」「家族や周囲の人とのつながりを大切にしたい」といった気づきが共有され、がんを知ることが人を思いやることにつながる授業となりました。
- 実施校
- 品川区立品川学園(東京都品川区)
- 参加学生
- 東京医科大学5年、国際医療福祉大学2年、がん経験者
- 実施日
- 2025/12/12
- 対象
- 中学2年